先週の日曜日17日は、ミラノ・スカラ座にヴェルディのオペラ「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」を聴きに出かけました。今シーズン、ミラノ・スカラ座で上演されたオペラ「椿姫」は、もうすっかりお馴染みとなったリリアーナ・カヴァーニ演出による大人気のエディション。1990年4月初めてこのエディションが上演された時も、僕は実際スカラ座で聴いています。当時、スカラ座では久方ぶりの椿姫上演とあって、劇場首脳陣は大変苦労して初日までこぎつけたという事を覚えています(詳しくは以前書いた僕のブログ記事 https://shigekikanno.wordpress.com/2006/07/28/忘れ去られたヴィオレッタ‥/ を読んで下さい)。
さて、前置きが少し長くなりましたが、今回の椿姫は、若きプリマドンナ、Angel Blue エンジェル・ブルーさんの演唱は絶賛に値するものでしたが、Plácido Domingo プラシド・ドミンゴさんがジョルジョ・ジェルモン役で出演され、たくさんのブラボーを受けていました。テノールの役がきつくなったので、バリトン役を歌ってもう少し歌手をやっていこうか、って感じの歌いぶりとは全く違うのが彼の凄いところ。その辺のバリトン歌手など足元にも及ばない、圧巻の父ジェルモンを表現していました。全盛期の美しい声も随所に感じることができ、加齢による音程の不安定さも全くありません。特筆すべきは第2幕ドミンゴさん登場で、歌い出す前から長い歓声が起こった事です。ミラノ・スカラ座でも彼がいかに愛されているかがわかりますね。動画でInstagramに投稿しましたのでご覧くださいね↓
「椿姫」開演直前、熱気溢れるミラノ・スカラ座にて
今シーズンの椿姫は全12公演ありましたが、プラシド・ドミンゴさんは最後の3公演に出演されました(他の公演はレオ・ヌッチさんが出演しましたが、彼は歌手としての衰えがますます酷くなってきました)。指揮はチョン・ミュンフンさんから、Marco Armiliato マルコ・アルミリアートさんに変わり、むしろ良かったと思いました。
By 管野滋樹
Shigeki Kanno / Opera Singer