忘れ去られたヴィオレッタ‥

オペラ歌手として、輝かしいキャリアを築き上げることは、とても難しい。素晴らしい資質を兼ね備えた歌手にとってもそれは同じで、彗星のごとく大きなオペラハウスに登場した期待の新人でも、その後伸び悩み、ひっそりとキャリア終える歌手も多いのです。
←スカラ座「椿姫」に大抜擢されたT.ファブリッチーニ、これは彼女から頂いたポートレートです。
 
1990年4月21日ミラノ・スカラ座では、およそ30年ぶりにヴェルディのオペラ「椿姫」が上演されました。こんな長い間、スカラ座で「椿姫」が上演されなかった事に皆さん意外に思われると思いますが、スカラ座では、1950年代のマリア・カラス主演、ルキーノ・ヴィスコンティ演出による「椿姫」のイメージがあまりにも強すぎて(そのあと、若きミレッラ・フレーニがフォン・カラヤンに抜擢されて歌いましたが大失敗!)ずっと上演されないままでした。
スカラ座には1990年当時でも、スカラ座のカラスの舞台の思い出を大切に暖めているファンがまだ多く存在していて、「椿姫」以外にもカラスのレーパートリーはことごとく失敗に終わっていました。
「スカラ座にはカラスの亡霊が住み着いている‥??」といってるファンも多いのです。
 
こういう経緯があって1990年の「椿姫」上演では、スカラ座首脳陣も万全の体制で臨みました。
公演初日は、天井桟敷の常連オペラファン(一番耳が肥えているとされて、ブーイングの発信地!)を締め出し、多数のさくらを動員。失敗は絶対に許されなかったのです。
幸い僕は幸運にも、この初日の公演を見ることが出来ました。
注目のヴィオレッタ役には、無名のティツィアーナ・ファブリッチーニを抜擢。アルフレード役はこの日がスカラ座デビューの、ロベルト・アラーニャが歌いました。指揮はリッカルド・ムーティ。
リリアーナ・カヴァーニの演出する舞台は大変美しいものでしたが、ファブリッチーニの歌いぶりはかなりの問題あり!演技はどことなく泥臭いのですがなかなかのもの。しかし常連客を締め出していなかったら、大ブーイングで散々な大失敗に終わっていたことでしょう。
アラーニャも役柄にはとても合っていたものの、まだ歌が硬く、演技の上でも説得力に欠けるところがありましたね‥
公演は万全の体制をしいていた事もあり大成功ということで、マスコミもファブリッチーニを新しいスター誕生として大々的にとりあげました。
この公演のあと数シーズン、彼女はスカラ座で歌いはしましたがプリマドンナとしての地位を確立することはありませんでした。
反対にアラーニャのほうは、皆さんご存知のように押しも押されぬ大スターへ。世界中どこへ行っても大人気のテナーに成長。
 
これもカラスの亡霊の仕業でしょうか‥
 
 
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