バリトン・マルタンの王様、カミユ・モラーヌ

昨日の僕のブログで紹介したフランスの名バリトン、カミユ・モラーヌ氏Camille Mauraneについて、もう少しお話しします。
僕の10年間のヨーロッパでの音楽活動のほとんどは、ミラノを拠点として活動してきましたが、そのなかの2年間は、パリに居を移してマエストロ、カミユ・モラーヌのもとで重要なフランス・オペラ、声楽曲をしっかりマスターしました。
 
1910年ノルマンディー地方のルアンに生まれた、マエストロはパリ音楽院で、伝説の名歌手クレール・クロワザのもとで学び、1940年パリのオペラ・コミークでデビュー。
ドビュッシーのオペラ「ペレアスとメリザンド」のペレアス役を最高の当たり役として、名声を確立。ペレアス役の3つのバージョンすべてを録音していることでも有名です。
オペラ以外でもフランスのバロック音楽から、特にフォーレの歌曲においては、抜きん出た個性的な解釈で存在感を示しています。
 
当時僕はイタリアン・スタイルのバリトンとして声が出来上がっていましたが、マエストロはフランスでバリトン・マルタンといわれるバリトンでもテナーに近い音色。
マエストロは、僕の音楽スタイルを壊さないよう、かつフランスの香りをうまく盛り込んで、僕の歌手としての幅をさらにひろげてくれました。
 
フランス語は日本でもかなりしっかり勉強してモラーヌ氏のレッスンに挑んだつもりですが、当時の僕は声そのもので勝負する歌い方が大好きだったことから、しばしばマエストロから注意を受けました。
「Shigeki, 君がいかに素晴らしい声を持っていようとも、歌詞の言葉ひとつ、ひとつを味わうように歌うことが出来なければ、優れた歌手になることは出来ないよ。それはオペラでも歌曲でも同じ。フランス人やイタリア人にしたところで、美しい声で歌ってはいても、言葉を歌える歌手は本当に少ないのだから‥」
 
こうして、1950年代に活躍したヨーロッパの歌手達に(イタリアでもフランスでも)、現在の歌手が持ち合わせていないエッセンスを、真近で感じ取れたことは、僕にとって大変幸運なこと!
 
モラーヌ氏は食通でも知られ、フランスの伝統的な食文化についても、大変多くを学ぶことが出来ました(冬になると、彼の家のキッチンにはしばしばジビエ類(ウサギや雉など)がころがっている)。
ご馳走になった、ノルマンディー風セロリのスープの味は今でも忘れられません!
 
モラーヌ氏の素晴らしい歌は、数々のCDで聴くことが出来ます。今も、その歌の輝きは増すばかり‥
皆さんぜひ聴いてみてください、フランスの良き時代の歌に、感動することでしょう。
 
↑ヴィオッティ国際音楽コンクール(Italy)の会場ヴェルチェッリのオペラ・ハウスにて
僕はコンクール2次予選ではモラーヌ氏のアドヴァイスでエスカミーリョを歌った。
 
 
 
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